有限と微小のパン
2006年4月9日森博嗣S&Mシリーズ完結編。読んで一番の感想は、犀川のもっともプリミティブな人格は真賀田四季を愛していたのだなということ。「触れたかった。尋ねたかった。確かめたかった。騙されたかった。」(森博嗣『有限と微小のパン』P832より引用)。もうひとりの主人公西之園萌絵ちゃんにはかわいそうな結末だけど、これが犀川先生の本音だったんじゃないかと思う。だけどもっと常識的な犀川は四季とともに行く道を選ばなかった。犀川が萌絵を選ぶかはこの作品を読む限りでは、微妙な感じがする。犀川は萌絵に触れたいとか抱きたいという感情はないみたいだし、前々作「今はもうない」で描かれているように、この2人が交わることは永遠にないかもしれない。現実に返れば、萌絵の叔母が2人を認めているのは確かだし、森氏にはぜひS&Mの続編を書いていただきたい。できれば殺人容疑で追われる犀川も見てみたい。いつか帰ってきてくれないだろうか。S&Mシリーズのファンとして復活を切に願う。
『有限と微小のパン』は『全てがFになる』の続編に当たります。登場人物がわかりづらいことを除けば、この2冊だけでも森ミステリは楽しめます。ぜひ読んでみてください。
これ以外には『数奇にして模型』が良かったなぁ。こちらもお薦めです。
『有限と微小のパン』は『全てがFになる』の続編に当たります。登場人物がわかりづらいことを除けば、この2冊だけでも森ミステリは楽しめます。ぜひ読んでみてください。
これ以外には『数奇にして模型』が良かったなぁ。こちらもお薦めです。
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