余談だが、リリー・フランキー氏が木村拓哉へ贈った曲がある。「君がいる」。私はずっとこの「君」は彼女や妻のことだと思っていたが、「東京タワー」を読んでからはずっと「君」がオカンに思えてならない。リリー・フランキー氏にとって「君がいる」の君はオカンのことだったのではないか?

本編もずっとボクからオカンへの愛が綴られている。買ってから実際にページを開くまでとても時間が掛かった小説。読みながら、最後は自分のオカンが年老いていずれ自分の目の前から消えてしまう、という事実を実感させられた小説。
オカンはずっといつまでも若くて死なないと思っていた自分がいた。でもそうじゃない現実……。

自分のオカンやオトンが疎ましく思ったら、読んでみることをお薦めします。意外と気持ちが荒れている時に読むといいかもしれませんね。

印象に残った場面は、オカンの通夜の席で、リリー氏のアシスタントのホセが「対決(酒の飲み比べ)」をしてはじめて勝ち、横たわるオカンの枕元に来て、泣きながら「勝ちました」と報告するところ。オカンがどれだけ多くの人に愛されたかを物語るエピソードです。

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