宮部作品は当たりハズレが大きいけど、これは大当たりの小説ね。

孝史とふきの「お別れ」のシーンも良かったけど、90年代に生きていた平田が時間旅行者としての能力を駆使して昭和11年2月26日の東京に行き、人間として生き、人間として死んで行ったことに私の心はうずきました。しかも戦死という死に方だったし、すごく理不尽なくせに、どこか妙に納得する終わり方でした。
私からすれば2:26事件以降日本が太平洋戦争につっ走っていく時代など、生き辛い世の中だと思うけど、人が人を思いやって生きていけた時代だったのかもしれません。

宮部さんが書くSFファンタジーは割と好き。それでも当たりハズレが大きいんだけどさ。

お薦めの一冊です。

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